家と敷地の方位の基準は磁北ではなく「真北」

家と敷地の方位の基準は磁北ではなく「真北」

「北」には太陽を基準に計った「真北」と地磁気を基準にした「磁北」の二つがあります。
真北と磁北の差は地球上の場所によって異なり、年月と共に変化しますが、現在の日本では約7度です。

磁北より歴史のある真北

では、どちらを基準にしたら良いのでしょうか。
実際のところ、「真北」を採用する人もいれば「磁北」を採用する人もいます。
僅かなずれで全く異なる家相になると主張する人もいますが、少しのずれで大きく異なる結果を出すような間取りは良くない間取りであるとも言えます。
また、古来より「磁北」が採用されていたと唱える人も多いのですが、中世以前は磁石はほとんど使われておらず、古代のピラミッドを始め、平安京などの建造物などは「真北」が使われています。
つまるところ、自分の家なのですから、自分の好きな方を選べば良いのですが、土地を「真北」で診て家屋を「磁北」で診るような、まぜこぜの使い方だけは避けましょう。
なお、このサイトでは「真北」を基準に解説しています。

真北を基準にする理由は三つ

【1.】建築基準法では真北を用いている
現代の日本で家屋を含めた建造物を建てたり維持したりする場合、全て建築基準法の基準に沿ったものになります。
隣地に影響を及ぼす北側斜線制限や日影規制などを始めとして、図面に照らし合わせて審査されるのですが、この図面に書かれる方角は全て「真北」が用いられています。
また、磁北は地中に埋まっている金属などの影響を受けるため、金属系の鉱脈の上などでは、方位磁石が付近とは異なる磁北を示すことになります。
また、鉄骨構造の建築物の内部でも方位磁石が付近とは異なる磁北を示すことがあります。
【2.】公式な地図の殆どは「真北」を北として作成されている。
【3.】真北は太陽を基準にしているので直射日光の当たるところなら周囲の環境に左右されることはないが、磁北は建物自身や建物周辺の影響で地磁気の北と異なる方位を示すことがある。
磁北の元となる地磁気も人体に影響を及ぼしたり関わりがあるとして研究されていますが、人間を含めた動物や植物に与える影響力は地磁気よりも太陽光の方がはるかに大きいと考えられています。
方位は太陽を基準にした「真北」で診る場合でも、出来るだけ磁石を持ち込んでその土地や建物内部で磁石の動きを診てみましょう。
以上のように、真北は法律と地図と環境への対処が明確だからです。

磁北を使いたい場合は磁気偏差を調べて使う

真北ではなく磁北で方位を求めたい場合は、小さな磁石では周囲の金属や地下の鉱脈などの影響を受けて正確な磁北が示されない場合があります。
その場合は、正確な地図で真北を調べたうえで、以下の国土地理院のサイトで場所ごとに異なる真北と磁北の差である「磁気偏差」を求めて地図上に修正した磁北を記入して使うようにします。
https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/geomag/menu_04/index.html
使い方は上のページにアクセスして、経度を手入力するか、地図上で計算したい場所を拡大してクリック指定します。
次に「計算実行」をクリックします。
国土地理院サイトのデータは「地磁気値と磁気異常」も反映しているので、非常に正確な地磁気値が得られます。

真北と磁北のズレ

日本では「真北」と「磁北」のズレは6-7度程ですが、磁石の針がそれよりもかけ離れた方位を示したり、針がぐるぐる回る場合は強い磁場があったり金属の影響を受けているなど、「磁場が乱れている」ことが考えられます。
変電所や工場のそば、高圧送電線の下、地下鉄の上、鉱脈の周辺、大量の鉄骨を使っている鉄骨造のビル、地中に残された鋼矢板などが主な原因とされていますが、原因の分からないものも多くあります。

磁気の人体への影響

強い磁力線は人体に影響を与えるようですが、南北を示す方位磁石が感じる地球の磁力は非常に弱いため、建物周辺の磁力線を出すものや金属による磁力により影響を受けて正常な方位を示せなくなりますが、それらの磁力も非常に弱い者で、携帯電話やスマホの方がよほど強い磁力線を出しています。
しかし、携帯電話やスマホを身につけると体調の変化を感じる人がいるように、人間には個人差があるので、方位磁石の不安定な動きや磁場の乱れが気になる人は、その場所を避けた方が良いでしょう。