家庭用ガステーブルと業務用コンロの違い

家庭用ガステーブルと業務用コンロの違い

家庭では2口から3口のガスバーナーを配置した調理器具を「ガステーブル」と呼んでいますがこの「ガステーブル」にも業務用があり、「コンロ」や「ストーブ」などと呼ばれています。
この「ガス(テーブル)コンロ」はホテルやフランス料理店で使われる「タタミ1枚」位の大きなスペースにバーナーと呼ばれる火口が5個から7個位ついている業務用ガスコンロから30cm角程度の小さなスペースにバーナー1個の小さな業務用ガスコンロまであります。
もちろん、バーナーが1個~2個の小さな業務用ガスコンロもプロ用途で、喫茶店などの軽食調理に使わたり、お祭りやイベントで「トン汁や甘酒」の大鍋の下で使われたりしています。
では、この業務用ガスコンロと家庭用ガステーブルの違いについて尋ねると、一般の人は「見た目のデザイン」を挙げ、料理に興味のある人は「火力」を挙げます。

業務用は五徳が丈夫

この2つはどちらも正解ですが、家庭用ガステーブルと業務用ガスコンロの違いはあと2つあり、1つは五徳の耐久性です。
五徳は「ゴトク」と読み、家庭用ガステーブルや業務用ガスコンロの上に付いていて、鍋やヤカンを支える金具です。
家庭用ガステーブルでは、かなり高級なものであっても五徳は鉄板をプレスして成型したものが使われます。
家庭用ガステーブルの五徳に対し、業務用ガスコンロの五徳は鋳造、つまり鋳型に溶けた鉄を流し込んで作った鋳物が使われます。
プレス成型した五徳と鋳物の五徳の違いは大きく、耐久性は当然鋳物の五徳の方が格段に良いのですが、それ以外にも鋳物の五徳は重量が有るので鍋を置いた時の安定感が良いのです。
また、食材を調理する時に五徳の上でフライパンや中華鍋を動かしても鍋の「すわり」が良いので、使いやすいことも挙げられます。

業務用は火が消えない

フライパンで料理をするとき、レストランのコックさんはフライパンの中の材料を上に放り投げては落ちて来る材料をフライパンで受け止める動作を繰り返して材料を混ぜます。
実は、この調理方法は業務用ガスコンロがあって初めてできることです。
なぜかと言えば、プロのコックさんはフライパンの中の材料を上に放り投げ混ぜているとき、火力を全開にして加熱しながら調理をしているのです。
このため、調理が終わると材料や調味料が均等に混ざっているだけでなく、熱も加えられて料理として完成しているのです。
ところが、家庭用ガステーブルは安全のためにガスレンジの上の鍋やフライパンが火から離れると自動的に火が消えるようになっています。
機種によってはフライパンで調理をするときにボタンを押すことで、一定の間火が消えないようにすることが出来る家庭用ガステーブルもありますが、火を消えないようにしている時間が短く、念入りな調理をするには不足です。
業務用ガスコンロに比べて、家庭用ガステーブルは火力も弱いので、フライパンが空中にある間にどんどん冷めてしまい、美味しい料理ができません。
フライパンで料理する機会が多い方は業務用ガスコンロを検討してみると良いかも知れません。

業務用を使う場合は飲食店と同じ対策が必要

経産省「ガスこんろの規制について」によれば、家庭用のガスコンロは「ガスの消費量の総和が14KW(ガスオーブンを有するものにあっては、21KW)以下のものであつて、こんろバーナー1個当たりのガスの消費量が5.8KW以下のもの。」となり、これ以上の火力を備えた業務用ガスコンロを家庭で使う場合は次の3つが必須となります。
・耐火基準を満たした排気フード設置
・ガス燃焼に充分な吸気できる換気口
・消防法と建築基準法に則った防火対策
業務用機器を使うには半端ではない防災対策と換気と排気の三点が必要になり、通常は保温性の低いコンクリリートやタイルの壁や床と相まって、大量の吸排換気が行われるので、快適室温を維持するためには料理場用の強力な冷暖房が必要になるのです。